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野生農園ザ☆ばん通信 vol.1

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2022.11.1

Illustration:Masahiko Ban

Photo:Junichiro Morinaga

Text: Kayo Arita

『もし私たちが空想家のようだといわれるならば、救いがたい理想主義者だといわれるならば、出来もしないことを考えているといわれるならば、何千回でも答えよう。「その通りだ」と』とはチェ・ゲバラの名言。
 

「自然農法で野菜や果物を育てるのは、救いがたい理想主義者のようなものかもしれません。」

とその日の取材の冒頭で伴さんは語ってくれました。

伴さんは藤野にきて自然農法で農業をはじめてから約10年。はじめたころは、自然農法とは無収穫農法なのだろうかと感じたことも一度や二度ではなかったそう。


藤野に暮らしているのは人間だけではありません。シカやアライグマ、名前も分からない小さな虫たち。土の中で暮らしているモグラやミミズに、微生物たち。

手塩にかけて育てた大豆を、山の畑でシカに食われてしまったことも、スイカを鳥やアライグマに食われてしまったことも、ニンニクを謎の黒い虫にやられてしまったことも数知れず。

 

異常気象に翻弄され、種まきや収穫が間に合わなかったり、せっかく育てた野菜や果物がだめになってしまったこともしょっちゅうだったそうです。

 

それでも自然農法で野菜を育て続けるのは地球の上で暮らしているわたしたち人間が、少しでも地球に負担をかけずに生きていくことをあきらめたくないからかもしれませんね、と少しはにかんだような笑みを浮かべる伴さん。


 

期間中農薬不使用で栽培しているため、

果物や野菜には当然虫がつきます。虫

に作物を食われてしまっては売り物に

なりませんので、一匹一匹虫を手で取

ってつぶします。

 

そんな作業を1人でずっと続けている

と、環境低負荷の農業をするために自

然農をしているはずなのに、という思

いがでてくることもあるそう。

 

絶対的な正解がある問いは、実はあまりないかもしれません。

 

自然農法という農法自体、定義は曖昧でその手法も考え方も人それぞれ。

伴さんいわく、わたし自身が正しいわけではなく、ひとつの解釈として野生農園ザ☆ばんの自然農法で栽培しています、とのこと。

 

筆者がはじめて伴さんのトマトをいただいた時に、思わず「わぁ」と声をあげてしまったことがあります。とってもみずみずしくってまるでフルーツの様に甘さがはじけるから。

 

正解が何かは分からないけれど、伴さんの育てたお野菜や加工品を食べると伝わってくるもの。そこから各自が何かを感じ取るものなのかもしれませんね。

INFORMATION

野生農園ザ☆ばん

神奈川県相模原市の山間地(旧藤野町)で、主に無農薬・無肥料・不耕起の農法により野菜を栽培しています。

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